FUJIWA
ジオフォーラム2007in 静岡
地質リスク−地質断面図を例にして−
株式会社富士和沼津支店
小柳津篤(理学博士)

A補足調査の付与
こちらが、補足調査を加えた場合です(上の断面図)。
柱状図や簡易動的コーン貫入試験の貫入抵抗のみでは、地層の新旧・上下関係が判らないことから、地層境界線を引くことが困難となります。

B履歴(発達史)の付与
先程示した調査地での地質履歴を女性事務員に示した結果、作成したものが、こちらになります(上の断面図)。
概ね同様の断面図となってきたことが判ります。

これは、先程示した箱根火山の例で、情報量による断面図の変化を示した図です。なぜ相違が生じたのか?ですが、以下の3つに整理してみました。

情報量の相違
@ボーリング
A補足調査

・サウンディング等。
・踏査
沖積層を除き、ほとんどが地形的凹凸を形成するから、露頭が少なからず存在する。
・地形判読や聞き込み
露頭がほとんど無くとも、聞き込みや地形状況の観察から、足下の地盤構成の概略は想像可能。
B地質履歴の構築
調査地の地盤構成がイメージできれば、断面図の作成が容易になることが明らかです。また、地盤の層序(どのように重なり合っているか)の誤りにも気が付きやすいと思います。
ただし、ここのAとBは、トライ&エラーの繰り返しとなるものです。
ここでは、箱根山麓と愛鷹山麓の2 つの地域における地質断面作成の例を示しましたが、

(1)ボーリング柱状図
(2)補足調査(踏査や簡易動的コーン貫入試験、そして聞き込み)
(3)地質履歴の構築

の順に、地質断面の精度が上がることが判ります。
断面図作成を例としましたが、断面図作成1 つをとっても、これだけ多くの情報を要し、さらに情報や経験による個人差が生じやすい成果品と考えられます。
今回の発表の内容で、地質履歴を強調したのは、地質履歴がその後のリスク低減(例えば、設計・施工上の留意点)に繋がるケースが少なからずあると考えられるためです。

ここで述べる地質履歴とは、
・地盤の新旧関係、形成過程、分布を説明できること。
・例えば以下のような地盤の持つ特性を説明できること。
→なぜ水替えが必要なのか?
→なぜ軟らかいのか?
→なぜ硬いのか?
→なぜ沈下するのか?
→なぜ膨潤するのか?
「たまたま分布している」や「例外的に特性が異なる」という解釈は、地盤の均質化モデルを構築する際の言い訳になってしまう。地盤そのものが不均質という特性も、重要ではないかと考えられます。

例えば、この箱根山麓の例であれば、断面図だけからでも、
・埋土の不均質さや軟らかさ
→埋土地盤の支持力不足や掘削時の土留め
・支持地盤の深さの相違
→20m 隣の建物と同じ基礎形式とは限らない
が挙げられますが、さらに
・降雨で生じるリスク
→最近は、高速道路で谷埋め土の排水不良による崩壊事例があることからも明らかなように、埋没谷地形を流下する地下水の排水対策(例えば擁壁の水抜き孔の設置など)などが挙げられます。

こちらの愛鷹山麓の例であれば、
・砂礫を掘削する場合のリスク
→硬質な玉石や巨礫による掘削障害
・地盤や基礎形式の相違
→同一構造物で、支持地盤の種類や基礎形式が異なる
などに加えて、
・砂礫中を掘削する場合のリスク
→扇状地を流下する地下水の水替え(愛鷹山の主要な谷筋であり、玉石混じり砂礫中の地下水位変動が激しい)などが挙げられます。

以上。

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